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【レビュー】Snapmaker 3in1 3DPrinter

当店でも販売&使用している3Dプリンターの使用感をお伝えしてみましょう。

今回はSNAPMAKER製のSnapmaker 3in1 3DPrinterです。
大きな特徴はエクストルーダーがモジュールになっており、付属のレーザーモジュールやCNCモジュールに取り替えることで3Dプリント、レーザー、CNCと3種類の加工が1つのマシンでできる事でしょう。
そしてCNCにも対応するボディ剛性と位置決め精度を実現するために、一般的なFDMタイプのプリンターと違ってX/Y/Z軸の全軸が送りねじによる移動となっている事と、押し出し材を使用した剛性の高いボディーワークでしょうか。

ナノラボにはパイロット(評価)版が2017年11月に到着し、
2018年の1月から通常版の販売を開始しました。

  • 組立難易度:★★★★☆(星4つ-簡単)
    ベースプレート、制御モジュール、スライドユニット、3Dプリンタ/レーザー/CNCモジュールとモジュール化された状態で届くので、あとはモジュール同士をネジで固定していけばOKです。
    組立の説明書もきちんとした物がつきますし、現在は日本語化もされていますので安心です。
  • ベッド調整難易度:★★★☆☆(星3つ-ふつう)
    付属のタッチパネルで4点の高さを調整するタイプです。
    自動ではありませんが、一度調整出来ればベッドやノズルの取り外しをしない限りはほとんどずれません。
  • 印刷物の張付き&取外し易さ:★★★☆☆(星3つ-ふつう)
    125mm四方のベッドにはザラっとしたプラットフォームシートが貼られています。
    定着力も剥がし易さのバランスは良く、予備もついています。
    ヒートベッドの対応温度が仕様上は80℃までとなっていますので、PLAには十分ですが、ABSの印刷にはやや力不足かな?という感じです。
    定着力が不足する場合はシワ無しピット等を塗るとより安定します。
  • エクストルーダーの安定性と使いやすさ:★★★☆☆(星3つ-ふつう)
    印刷中に詰まってしまうという事態にはほとんど遭遇していません。
    モジュール化されており、ドライブギアやエクストルーダーノズルの入口が目視できないため、フィラメントの差し込み作業が手さぐりになったり、やや差し込みずらい場合があります。
    とくにフィラメントが折れたりした場合にはノズルアセンブリの取り外しが必要になりやや作業が煩雑です。
    また、ノズル直上にドライブギアのあるダイレクトタイプですが、ドライブギアとノズル入口に隙間があるため軟らかいフィラメントには対応していません。
    E3DのV6ホットエンドのコピー品のようで、基本的に良くできたエクストルーダーです。
  • 印刷の仕上がりと印刷速度:★★★★☆(星4つ-よい)
    送りネジ方式の為、ベルト調整の必要も皆無で、位置精度も良いため非常に整ったプリントが可能です。
    オーバーハングに関しては印刷物冷却ファンがノズルの左にありますが、ファンが25mm程度とやや小さく、真下に吹き付けているためノズル右側のオーバーハングはやや苦手です。
    印刷速度は60mm/s程度でも十分きれいな印刷が可能です。
  • 表示と機能:★★★☆☆(星3つ-ふつう)
    表示についてはフルカラーのタッチスクリーンで反応も非常に良く、表示項目や設定可能な項目は多くはないですが必要十分な形となっています。
    日本語にはなりませんが、単語レベルで分かれば問題なし。
    現在はファームウェアのアップデートで当初よりさらに気が利いた表示となっています。
    接続インターフェースはフルサイズのmicorSDカードリーダーとUSB-Aとなっています。フィラメントセンサーや中断機能などはありません。
  • スライサー:★★★★★(星5つ-とてもよい)
    公式HPからSnapmakerjsという専用ソフトがダウンロード可能です。
    Snapmakerjsを使用すると3Dプリンタ/レーザー/CNCすべての機能を1つのソフトで使用可能です。
    (CNCについては高度な切削パスの作成はFusion360を使用する方法が案内されています。)
    2019年1月時点の最新版は2.5.1で定期的にアップデートされていますので最新版を使用しましょう。
    Snapmaker専用に設定が作られていますので、きれいで安定したプリントがすぐに可能です。
    Snapmakerjsの設定カスタマイズは限定的ですが、その際はCuraやSlic3r等のオープンソースのスライサが使用可能です。

=トータル評価=
10万円程度で3Dプリント/レーザー/CNCすべてのモジュールが付属しますので、小ささ作業スペースでいろいろな加工をしたいという方には非常によい選択肢となるでしょう。
3in1複合機が10万円と考えると破格の値段といえます。
公式HPのドキュメントやフォーラムも非常に充実しています。

店舗およびWEBショップにて販売もしております。

【レビュー】ANYCUBIC i3 MEGA

当店でも販売&使用している3Dプリンターの使用感をお伝えしてみましょう。

今回はANYCUBIC製 i3MEGAです。
数多あるPrusa i3クローン機の一つという位置づけです。
ぱっと見た感じは金属製のボディーが特徴でしょうか。
ナノラボへの導入は2018年の9月頃です

  • 組立難易度:★★★★☆(星4つ-簡単)
    セミアセンブルされており、本体の大きなパーツは2つです。
    付属のボルト8本を付属の六角レンチで組付ければOK。
    付属のアクリル板を組み合わせてリールスタンドを組み立てる必要がありますが、説明書はなくても大丈夫でしょう。
  • ベッド調整難易度:★★★☆☆(星3つ-ふつう)
    四隅の調整ネジでベッドの水平と高さを調整するタイプです。
    ガラス製ベッドですので、ベッド自体の歪みなどは小さいです。
    ナノラボの個体はベッド全域で印刷に支障のあるような気になる歪みは出ていません。
    (一部個体では中央がやや凹み気味の物があるっぽい?)
  • 印刷物の張付き&取外し易さ:★★★★☆(星4つ-良い)
    ULTRABASEというテクスチャ付きガラスベッドが採用されています。
    ベッドの温度が高いと強力に張り付き、室温まで冷却されると印刷物がポロリと剥がれるという感じで非常に使いやすいベッドです。
    張り付きが悪い場合はアルコールなどで軽く拭くと復活します。
    PLAならほとんどの場合はブリムやラフトは不要でしょう。一辺10cm以上の印刷物でも3mm程度ブリムがあれば剥がれる心配はほぼありません。
  • エクストルーダーの安定性:★★★☆☆(星3つ-ふつう)
    E3DのV6ホットエンドのコピー品のようで、基本的に良くできたエクストルーダーです。
    ただ、エクストルーダー上部のコールドセクションの冷却があまり良くないのか、リトラクションの多いプリント等の際にはノズルが詰まることがあるようです。
    コールドセクションへのダクトを追加するか、ファンを交換する等の対策を実施すると良いでしょう。
  • 印刷の仕上がりと印刷速度:★★★★☆(星4つ-よい)
    印刷婚の揃った良いプリントをしています。
    印刷物冷却用の遠心式ブロアとほぼ水平へ細く吹き出すノズルのおかけで、オーバーハングへの耐性も高いです。
    スチール板金によるボディ剛性の高さが効いている印象です。
    印刷速度は20~100mm/s(推奨60mm/s)と一般的なスピードです。
    積層ピッチが揃わない場合はベルトのテンションを確認しましょう。
  • 表示と機能:★★★★☆(星4つ-良い)
    表示についてはフルカラーのタッチスクリーンで反応も良いです。
    接続インターフェースはフルサイズのSDカードリーダーとUSB-Aとなっています。
    日本語にはなりませんが、単語レベルで分かれば問題なし。
    特別な機能としては、意図せぬ電源OFFの際の復帰機能とフィラメントセンサーが標準装備されています。大物の印刷も安心ですね。
  • スライサー:★★★★☆(星4つ-よい)
    CuraやSlic3r等のオープンソースのスライサが使用可能です。
    有料ですがSimplyfy3Dも対応しているらしい。
    Curaの最新版なら出来の良い設定が「ANYCUBIC I3 MEGA」のプリンタ名で用意されています。

=トータル評価=
組立の簡単さ、使いさすさ、この値段としては十分以上の印刷品質、5万円以下の価格と、非常にバランスが良いプリンターです。
公式HPには部品の交換方法の動画やファームウェアがきちんとアップされています。
最初に購入するプリンターとして強くお勧めできるプリンターです。

店舗およびWEBショップにて販売もしております。